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仮面ライダーになりたい。

メルカリのデータアナリストインターン参加記録

こんにちは,@kuri8iveです.
株式会社メルカリのデータアナリストインターンに参加させていただいたので,その記録を残します.参加したのは2021年8月の1ヶ月間です.

メルカリにおけるデータアナリスト

メルカリのデータアナリストがどのように仕事を進めているかはこの記事が参考になります.今回のインターンでは,@yaginuuunさんをメンターとして,Analytics Infraチームに所属しつつ主にはRecommendationチームの領分で活動していました.

参加した経緯

まず,分析職としてのキャリアを選択肢として検討していたのが第一の理由です.昨年時点ではインターン / 新卒の募集はなく今年の4月に募集が公開されたので,修士2年夏のタイミングではありますが応募し参加することにしました.(私が応募した募集は22卒対象でした.)

また,先述の記事において「本当にカオスでした」という表現がありましたが,実際どうなんだろう,どういった方向にどれくらいの改善の余地があるのだろうか,というあたりを実際に中で見てみたかったというのも理由として挙げられます.

その他,メルカリは無意識バイアスワークショップ研修資料を公開しているのですが,「こうなったらより素敵だな」という方向に社会全体が進めるように様々に取り組んでいることに個人的には感銘を受けていて,そういった組織の文化を肌で感じてみたかったというのも応募した理由の1つです.

インターンでの実際の取り組み

大きく分けて3つのフェーズがあったかなと思っています.最初の2日,次の数日,残りです.

最初の2日

入社直後は中途入社の方々も含めオリエンテーション・オンボーディングがありました.その中で文化やブランド理解のための時間が多く,驚くと同時にそういった点を重視している会社なのだなと理解を深めることになりました.メンターと一緒に参加するものもあり,新入社員がスムーズに業務に入れるような配慮を感じられたのも良かったです.

次の数日

メンターさんの業務を一部切り出してもらい,その部分をこなすお手伝いタスクを行いました.今回私が行ったのは,現在走っている施策の効果をモニターするためのダッシュボード作成です. このタスクで一部ではありますがメルカリのデータに慣れ,SQLのリハビリもできました.作成したダッシュボードはRecommendationチームのみなさんからフィードバックを頂いて改善し, 現在もチームで活用していただいているようです.同じ軽めタスクでもその成果物がインターン後も活用される方が良いなと思うので個人的には嬉しいタスク設計でした.

残り

残りの日程で今回のメインタスクに取り組みました.メインタスクは「あるコンポーネントの分析と施策提案をしてほしい」でした.背景については共有していただきましたが,どういう調査や分析を行い提案まで繋げるか,つまり全般的にどう進めるかはインターン生である私に任せられていた,という形になります.(もちろんメンターさんにはたくさん壁打ちに付き合っていただきました.)私は普段はほとんどメルカリを使ってはいなかったことから正直メルカリの理解が深いとは言えなかったので大丈夫かなーという不安はありつつのスタートでした.

実際に行ったことも大まかには3つに分けられるかなと思います.方向性の確認,現状把握,分析実行と提案整理の3つです.

方向性の確認

ここで方向性というのは,会社がメルカリというサービスをこれからどうしていこうとしているのか,です.どういう未来図を描いていて,その未来へどういう戦略で到達しようとしているのかを知ることで,戦術に相当するところの分析が戦略とチグハグになるのを防げると考えておりそうするに至りました.具体的には,決算資料であったり社内のこれからのロードマップなどを確認していました.

現状把握

先に述べた通り私自身はメルカリを日常的には使っていなかったので,その分多面的にプロダクトを観察することでより正確な現状把握を試みました. 具体的には,

  • 自分のメルカリアプリをいろいろと触ってみて,当該コンポーネントの様子を見た.
    興味あるキーワードで検索したりいいねしたり,ちょうど不要品があったので出品してみたりもしました.
  • 利用している知り合いに聞いてみた.
    幸いにもメルカリを普段使いしている知り合いが数名いたので,軽くヒアリングして実際のユーザーがどう感じているかの理解に努めました.
  • 当該コンポーネント関連の過去分析事例を調べた.
    これまでにどのような分析が行われ,どういった知見が得られ,現在に至っているのかを調査しました.この調査によりただ現状のプロダクトを眺めているだけでは得られない知見を獲得することができたと思います.
  • 当該箇所の実装コードを読んでみた.
    データアナリストのインターンでももちろん会社のリポジトリを閲覧する権限は頂けるので,当該箇所がどのように実装されているのかコードを読んでいました.コードを読んだことで自身がアプリを触ってみた時の変化の仕組みが理解できたほか,施策提案の際に実装をどう変更するか,そのコストはどの程度になりそうか,まで把握することができました.
  • 生のログデータを見てみた.
    クエリを叩いて実際のユーザーがどのように行動していたのかを見てみました.平均等の集約処理をした結果だけでなく,あるユーザーの行動に着目したログも見ていたので,メルカリがどう使われているかについてより理解を深められたかなと思います.
  • アンケートから課題を洗い出してみた.
    過去に行われたアンケートから,現在のメルカリの課題点はどこにあるのか検討しました.他の方法では得られない"メルカリのイメージ"を掴むのに大変役立ちました.
分析の実施と施策提案

具体的には,まず先述の現状把握で得た知見を整理し,次に関連しそうな論文を探して読むことなども行って,分析する前にいくつか仮説を立て,それに基づき分析案やラフな提案をまとめました.そして,この段階でRecommendationチームのエンジニアの方々からフィードバックをもらっています.それを踏まえた上で,今回の分析と施策提案の着地点を練り直し,分析計画をブラッシュアップした上で分析を5つほど実施しました.

それから分析結果を踏まえて提案施策を検討しまとめましたが,この際に単に"こうしましょう"と提示するだけでなく,具体的に現行アルゴリズムのどの部分をどう変えるか,その変更が入った場合にどのような変化がユーザー側に現れるかの例示,実際に実装されABテストを走らせる場合にどの指標を見るべきかどの指標は気にしないで良いかといった点を整理し共有しました.実際に期間中にABテストを走らせてはいないのですが,自身の取り組みがインターン後に実際に何らかの形で活用されプロダクトの改善に活かしてもらうため,より建設的な議論ができるように必要な工程に取り組んだつもりです.

全体を通しての感想

"実際に自分が入社したらどんな仕事をするのかな"といった点を非常に良く感じられるインターンとなり,充実していたなーというのがまず感じたことでした.メインタスクが実際の業務そのものであったことももちろんですが,Analytics / Recommendationの定例の2つともに参加できたので,実際に入社したとしたら一緒に働くであろう人たちがどんなことにどう取り組んでいるのか理解できたのも良かったです.

また,メンターさんマネージャーさんと適度にコミュニケーションが取れ円滑に進められたのも充実感に繋がったと思います.インターン中に何度か病院に行ったのですが,体調最優先でというのを開始前から伝えられていたのでその辺りも不安なくインターン業務を進めることができました.

あと,定期的にインターン交流ランチ / ディナー(オンライン)があったのも個人的には良かったです.やっぱりこのご時世なかなか物理的には会いにくい中で,同時期にインターンに来ている方々と交流する機会を積極的に設けていただいたのはありがたい気持ちがありました.

それから,参加した経緯に記した「カオスさは実際どんなものなのか」「どういった方向にどれくらいの改善の余地があるのだろうか」という点についても,インターンで関わった範囲で肌感を得られたかなと感じています.カオスさについては,これまでにもたくさん良い取り組みは行われているものの,システマチックにそれらを行うための仕組みづくり(メンターさんが以前発表されたExperiment Design Docはその素敵な取り組みの1つだと思っています)が発展途上なのかなと感じました.また,現状でも十分素晴らしいプロダクト・サービスだとは思いますが,人々の生活を豊かにしてくれる社会インフラとなるにはまだまだ伸び代はあって,その実現に取り組むことはきっとやりがいのあるチャレンジになるだろうなという気持ちを抱きました.

終わりに

とても実りあるインターンでした.メンターさんを壁打ち相手 / ガイドさんとして活用し主体的にあれこれ進められる方なら,きっと楽しくまた実りあるひとときにできるインターンかなと思いました.
本記事で興味を持たれた方がいらっしゃいましたら,今後募集があった際には是非応募してみると良いと思います.