kuri8iveにいきてこ。

仮面ライダーになりたい。

なぜ私の修士課程は失敗に終わったか

こんにちは,@kuri8iveです.修士課程が失敗に終わったので,なぜそうなったかとどうすればよかったかを書きます.反省文です.

本稿における「失敗」の定義

先日の記事 kuri8ive.hatenablog.com でも書いたように,元々D進も見据えつつの修士進学だったということもあり,「海外D進用奨学金の最初の締め切りラッシュがある & 国内D進の試験(夏)がある夏頃までに査読付き国際会議論文採択1本以上」を目標にしていました.しかし,修論を出した今になっても投稿すら出来ていないという惨状であることから,清々しいほどに「失敗」です.(ここではその定義の良し悪し等については議論しません.)

なお,失敗だったからといって修士進学を後悔しているわけではありません.得たものも多くあると思っています.ただただ,自分の至らなかった点を整理して今後の人生で活かすために見つめ直している次第です.

なぜ失敗したか

失敗要因と自身で認識していることについて書きます.

取り組み時間の絶対的な少なさ

そのまんまです.他のいろんな失敗も取り組み時間がもっと多かったらどうにかなっていたものも多いかと思っています.コツコツ取り組むことができず,かなりムラがありました.

実装力・デバッグ能力の欠如

とにかく実装力・デバッグ能力がなく,バグが取れなかったり意図したものを生成できていなかったり,実装面で詰まることが多すぎました.もちろん実装も研究の一部分ではあると思うのですが,アイデアの検証等ではなく思った通りの挙動をしないことへの対応にリソースが割かれすぎてしまい,メンタル的にも辛かったです.何をしてるんだろう,という.

指導教員の活用不足

(博士課程にいたわけではありませんが)こちらのツイートは全くその通りだと思います.私の失敗は,意味のある多様なxを継続的に入力できなかったことです.先生は研究会でもその他の時でも素早く的確なf(x)を返してくださっていたため,もっとxをアクティブに入力していればと思わずにはいられません.

メンタルヘルスマネジメントの失敗

(↑ツイートの煮詰まるは行き詰まるの意味で使われているものとして書きますが)研究が行き詰まった時の逃げ場やリフレッシュ方法(というよりは気持ちの割り切り?)を確立できなかったのも一因だと思っています.ゲームをしたり動画を見たりしていても,「進捗出せていないのに何してんの?」という内なる囁きが聞こえてきてしまい,息抜きしているはずなのにしっかりリラックスできないという状態になることが多々ありました.

集中力のなさ

文字通りです.作業BGMとして流していた動画に気を取られてしまったり,作業中に来たメール対応をしてしまったり,集中力に欠ける場面があったことは否定できません.

どうすればよかったか

どうすれば失敗せずに済んだか,思いつくことを記します.

時間の使い方を明確にする

時間の少なさ・集中力のなさに対応します.研究の時間はそれ以外の全てをブロックする,といったように時間の使い方を明確にしていれば良かったなと思います.研究室にはほぼ毎日通っていたのでそのことも利用できたかもしれません.例えば研究室にいる間は機内モードにする,特定の位置の時に指定のWebサイトへのアクセスを不可にするサービス(確かこのようなものがあった気がします)を使う,といったことを習慣にしていればだいぶ変わったかもしれません.

初期に使い方をガッツリ覚える

実装力の欠如に対応します.研究でお世話になるものの使い方を初期にしっかり覚えておけば,もっと時間を有効活用できたんじゃないかと思います.例えばPyTorchのtensor周りについて,都度調べるより一旦まとまった時間を確保して頭に入れておけばその後の作業効率を改善できたのではないかという気持ちがあります.

意識的に接点を増やす

メンタルヘルスマネジメントの失敗に対応します.もっと接点を持っておけば良かったです.オンラインでもいいので趣味のコミュニティを探して入ってみる,興味のある技術のSlack等に参加してみる,がパッと思いつくものです.実際には交友関係が狭い上に,コロナ禍ということもあり人との交流が(少なくともオフラインでは)大幅に減り,研究室や内定先以外の人とは交流がない期間が長くありました.もっと自分の心のケアに向き合う必要があったと思います.一定程度までの社会的相互作用は幸福度を向上させるらしいですし,孤独の負の影響を踏まえて行動しておくべきでした. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

代替タスクを用意する

時間の少なさ・メンタルヘルスマネジメントの失敗に対応します.最優先タスクがなかなか進まない時に,息抜きがてら代わりに進めるタスクでも予め用意しておけばよかったなと思います.もし実装に詰まっていたとしても,関連研究を探して論文を読んでみたりその時点で書ける部分の内容を執筆してみたりすることは,実装とは独立に進められるはずです.

成果目標以外にプロセス目標を立てる

メンタルヘルスマネジメントの失敗に対応します.研究というものが不確実性を持つ以上,論文投稿は(半人前の研究者見習いには)どちらかというと成果目標だと考えます.そのため,私のように上手くいかない期間が続くと一向に目標が達成されないという事態は容易に起こり得るはずです.そこで,週に論文を○本読むといったプロセス目標も用意していれば良かったなと思いました.頑張ってはいるけれど全く目標に達しない,が続くよりは,目指す成果そのものではなくとも何かしら日々達成しているしちゃんと前進しているよ,というメッセージを脳にフィードバックしていれば良かったです.研究活動をする→達成感が得られる,のような前向きな紐付けが必要でした.(上手くいっている場合は自然と得られるかと思います.)

目標を分割する

メンタルヘルスマネジメントの失敗に対応します.前項目と近い話ですが,小さく分割した目標も設定していれば良かったです.達成感を得やすいことがポジティブに働くからか,当初の目標値を半分にした方がそうでない場合より63%成功できたという話もあるみたいですし.と思ったのですが,進捗報告資料を見返すと一時期までは月の目標を設定していました.ふわっとしていたのでより具体的な小目標にする,達成したなら一旦ちゃんと満足する(?)といった点が足りていなかったのかもしれません. nextbigideaclub.com

進捗報告の型を作ってそれに従う

指導教員の活用不足に対応します.↑で言及があったように,指導教員にアクティブに良い入力をすることが研究を進める上では大切です.そこで,こういった内容が共有されれば次のアクションについて議論しやすいな,と言えるような項目を整理して,毎回その型に従って進捗報告をしていれば良かったかもしれません.同じ進捗であっても,複数の観点からの見方を提示したり次の想定アクションと予想される結果を付言したりといったことができていれば,聞く側もより協力しやすかったはずです.

おわりに

俺の屍を越えていけ.