kuri8iveにいきてこ。

仮面ライダーになりたい。

博士後期課程に行くか延々悩んだ結果やめた

こんにちは,@kuri8iveです.
進学を検討していた背景ややめた理由などを書き留めておきます.

一言で言うと

なぜ博士後期課程進学を検討していたか

身近に尊敬できる博士がいた

指導教員である早瀬先生北川先生馬場先生のみならず,学部時代の研究室の先輩である伊藤さんインターンでお世話になった笹川さん西場さん関さんなど,周囲に博士号保持者がいたのが大きかったです.諸先輩方のことを私は大変尊敬していて,ああいう風になってみたいな,というのが契機となったのは間違いありません.また,しゅんけーさんusait0さんのような博士後期課程在籍者のご活躍ぶりに大いに刺激を受けていたというのもありました.(usait0さんは2020年時点では学部生でしたが)

研究のプロセスが好き

良い問いを立て,問題を解決可能な形に整理し,適切に検証する,というサイクルが(できるわけではないが)好きだというのもあります.かつ,このサイクルで必要とされる一連の能力をもっと鍛えたいと思い,それに適した選択肢であるとも思いました.

また,自身の能力不足で上手くいかないことが多いのは心底辛いですが,研究のプロセスそのものは比較的楽しめているんじゃないかなと思っていました.

研究コミュニティが好き

立場関係なく,問いと解決策について議論してより良い知見を残していこうとする研究コミュニティの雰囲気が好きです.そこまで何か貢献できたわけではありませんが,多少関わっただけでもより力をつけて面白い話題を提供できるように研究精進したいなと思うには十分でした.

じっくり学問と向き合う時間を確保できそう

博士前期は授業やインターン,就活等でやはり忙しかったです.働き始めるとなかなか取れないであろうじっくり学問と向き合う時間を確保するために,博士後期進学はありなのではないかと思っていました.

小さくとも世界一詳しい領域を持ってみたかった

私は良くも悪くも興味が発散しがちで,故に知識も広く浅くなってしまうタイプだと自認しています.そのため,専門性というものを得たいという気持ちがありました.もちろん博士後期に進学する以外に仕事で成果を出す等でも専門性は身につけていけるとは思いますが,おおよそ世界共通の専門家の証である博士号を得られるほど精進するというのはその有力な選択肢だと感じます.

国外就職の可能性を広げられる

前項目にも関係しますが,国外就職を真面目に検討する場合博士号を持つ方が有利だというのも理由の一つです.例えばアメリカであればO-1ビザの取得が視野に入ってくると思います.国外就職における最大の障壁は就労ビザだと思うのでこの点は魅力的でした.

今なら身軽

修士から直接の進学を検討していたのは,今であれば身軽だからという点もあります.例えば配偶者ができ子供を育てるといった状況になれば,進学はかなり険しいものになると思います.興味があるなら行けるうちに行っておけというのも一理あると感じていました.

検討するにあたって何をしていたか

話をたくさん聞いた

研究を進めたり学振提出の研究計画立案のための下調べをする以外にはこれをしていました.具体的には,研究をしている/関係ない業務をしている博士の方,博士後期課程在籍者の方,博士後期課程進学を検討したけど就職した方など色々な方にお話を伺いました.これによって,様々な視点を踏まえて考えられたかなと思っています.お世話になったみなさま,その節はありがとうございました.

ブログを読んだ

この記事の一番下に並べたブログ等を読んでいました.

本を読んだ

この辺りの本も読んでいました.

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なぜやめたか

心身健康な博士後期課程生活を送れる気がしなかった

まず,博士前期課程の間に全く成果を残せず研究能力のなさを実感したという点があります.そして,そんな実力では博士後期課程を平穏には乗り切れないだろうなと思うに至りました.成果が出せず,(学振等が得られなければ)借金は増えるばかりだとしんどいだろうなと感じます.Natureの2019年の調査でも,36%の学生が研究活動を原因とする不安障害や抑うつ症で相談をしたことがあるそうですし,朝から晩まで研究のことだけできれば幸せというタイプでは自身はないかなと思うので余計に不安を覚えました.

こう言える自分が想像できませんでした.

内定と学振(かも)では比較できなかった

M2の4月時点で内定を得られたのも大きかったです.仕方がないことかもしれませんが,一般的に内定が出揃うタイミングでは学振等の支援制度はまだ結果が出ないため,同列視できませんでした.運が良くても年間240万円運が悪ければ再び奨学金生活なのか,確実にそれ以上を頂けるのか,後ろ盾がない私には十分すぎる差に思えました.既に700万円ある借金を1000万に増やすのか減らすのか,気分としてはシックス・ポインターでした.

また,こちらにもあるように,就活に苦労する学生も多い中で自身のことを欲してくれる企業があるんだ,というのは大きかったです.例えば国際会議に論文をバンバン通せていたら研究の世界からも欲してもらえてるなと思えたのかもしれません(?).

学振を取れると確信できるテーマを考えつけなかった

私はいろんな価値観や研究スタイルに触れてみたいという気持ちがあり,かねてから学部修士博士は行くとしたら全て違う研究室にしようと考えていました.そのため,博士後期に進学するとしたら修士の延長線ではない研究計画を練り実行するつもりでした.が,自身の力不足により学振を取れると確信できるほどの研究計画を立案できませんでした.

妹に借金させたくなかった

私には現在高校生の妹がおり,遠くないうちにおそらく大学に進学するかと思われます.が,我が家の経済状況を鑑みれば私と同じように借金(かそれなりの時間バイトに費やすこと)は避けられないのが現状です.それどころか親の定年を考えると今より厳しくなることが想定されました.当然,できるなら借金はさせたくありません.そんな中,良い待遇の内定をM2の4月時点で頂いており,借金をあまりさせない程度に仕送りができるかもしれないという点から大変魅力的に映りました.一方進学して近い水準の待遇を得るのは私の実力からするとほぼ不可能に思えました.十分な力量があれば支援制度を複数組み合わせるなりテック企業の博士フェローシップなどで好待遇を得ることはできるかとは思います.

alu.jp

仕事が楽しそう

内定先で行うであろう仕事が楽しそうに思えたのはポジティブな理由として挙げられます.力をつけていきたい,掘り下げていきたいと思える領域で仕事ができるのはとても楽しみに感じました.また,研究はその恩恵に与る人とやりとりできるケースは少ないかとは思うのですが,仕事であれば(会社や職種によるとは思いますが)お客さんの反応を間接的にでも感じながら日々取り組むことができますし,それは良いことばかりでないとしても楽しそうに思えました.特に,博士前期の2年間は研究成果を残せなかったために外部からの反応等を得ることがあまりできなかったというのもあり魅力的でした.

その他

結局進学しないことにしたため途中で離脱してしまったのですが,IPSJの予算申請書作成メンタリングは大変素晴らしい取り組みだと思いました.これで助けられた学生は多くいるのかなと思いますし継続されることを願っています.

おわりに

結局のところ選んだ道で一生懸命やることが肝要だし,選ばなかった人生を見ることはできないので,就職先で頑張っていきたいと思います.

参考文献

進路を検討する際に参考にさせていただいたブログ等です.